それでも君を、はなせない。





「 Lost of Eden 」





腰を下ろせば、床に届く長い髪。
光に透かしてもなお黒いその髪を撫でながら、君に寝物語を強請る。
やわらかい足の上に頬を埋めて、瞳をそっと目蓋で覆った。

「寝てしもたん…?」

擽るような声が気持ち良くて、うっすらと目を開ける。
さら、さらと彼女の髪が揺れて、わたしの髪を彼女が梳く。
彼女の髪と、わたしの髪が交じり合って、酷く淫猥な印象を受けた。
わたしを見下ろすその瞳には、長い睫が優しく影を作り、
その白い頬は情事の名残で甘く色付いている。
とうに紅など落ちてしまったはずなのに、その唇は赤いまま。
引き寄せられるように白い頬を撫で、唇を寄せた。
触れるだけの戯れに、ささやかな笑い声を上げて、彼女が笑う。

「いとおしおす」

長い睫が伏せられる。
わたしの頬を滑る指先は、はっとするほど冷たかった。
白く細い指を捕らえて、祈るように口付ける。





嗚呼、このまま君を攫えたら。




















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やっちゃった感が否めない連載第1回。
短いのは御愛嬌…。(は?)

モチーフはなんというか、やっぱりと言うか、「心中天網島」。





2005/02/26

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